日刊工業新聞掲載日 2013年12月11日
エナックス(東京都文京区、三枝雅貴社長、03・5689・0089)は、正極材料の素材にリン酸鉄を使った新型リチウムイオン二次電池を2014年度から量産する。フォークリフトなど産業車両メーカー3社程度からの採用が確実になったため。予定していた台湾での円筒型電池の生産は取りやめ、産業車両に適した板状電池に絞って中部事業所(愛知県常滑市)で生産する。
量産するラミネート型電池
同社が製品化したリン酸鉄系リチウムイオン二次電池は、瞬間的に大電流を放電できる。この特徴を生かし、一度に大きなエネルギーが必要とされる電動式フォークリフトなど産業車両用の蓄電池として提案してきた。
当初は材料を巻ながらつくる円筒型を台湾の委託先で、材料を積層するラミネート型構造の板状を自社の中部事業所でそれぞれ13年度に量産化する計画だった。だが、円筒型は一度に多く電流を充電できないなど期待した性能が出なかったため、量産を中止した。
ラミネート型は熱を逃がしやすく、熱変動への強さを求められる産業車両用に向いている。現在は産業車両メーカーごとに異なる仕様を詰めている段階で、採用がほぼ固まった。
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なるほどなるほど。
リン酸鉄を使うという設計思想が素晴らしい。
産業機械の場合、恐らく高出力用途が想定されるが、高出力起動時に
安全性を担保できるのがリン酸系の特徴だ。
テクニカルな考えでは、オリビンリン酸鉄は高速応答に適しているというレポートもある。
http://www.furukawadenchi.co.jp/research/tech/pdf/fbtn64/fbtn64_101.pdf
そういった点を意識したのかどうかわからないが、なかなか面白い。
ラミネートの場合、やはり電極の積層数によって一つの電極にかかる負荷が低減するから、
円筒よりも充電しやすいのかもしれない。
円筒のほうが電池材料を固くとじこめられるので、安全だろうという意味で
当初円筒でやろうとした気持ちは何となく理解できる。
だから、ラミネートの場合安全性のクリアが課題となるだろう。
なかなか、面白いビジネスですね。電池産業は発展途上であり
頑張ってほしい。
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