奈良女子大学 理学部・生活環境学部(1998年)
実数 x に対して、その整数部分を [x] で表す。すなわち、[x] は不等式
[x] ≦ x <[x] +1
を満たす整数である。
(1)実数 x に対して、等式 [x] +[x+1/3] +[x+2/3] =[3x] を示せ。
(2)正の整数 n 、実数 x に対して、
等式 [x] +[x+1/n] +[x+2/n] +・・・+[x+(n-1)/n ] =[nx] を示せ。
ガウス記号を用いた典型問題Ⅱの続き。ガウス記号の問題を攻略するには、やはり色々なガウス記号の問題を知ることが大事だと思うのです。この問題は有名なので解いていきましょう。
(1) [3x] は任意の整数mに対して、下記のいずれかの式であらわせる。
(i)[3x]=3m
(ⅱ)[3x]=3m+1
(ⅲ)[3x]=3m+2
(i)整数mを用いて[3x] = 3mとあらわされる場合を考える。
この場合、下記①、②、③が成り立つ。
3x-1< 3m ≦3x
m ≦ x < m + 1/3 ⇒[x] = m…①
m+1/3 ≦ x+1/3 < m+2/3 ⇒[x+1/3] = m…②
m+2/3 ≦ x+2/3 < m+1 ⇒[x+2/3] = m…③
よって[x]+[x+1/3]+[x+2/3] = 3mとなり、[x]+[x+1/3]+[x+2/3] = [3x]が成り立つ。
(ⅱ)整数mを用いて[3x] = 3m+1とあらわされる場合を考える。
この場合、下記①、②、③が成り立つ。
3x-1< 3m+1 ≦3x
m+1/3 ≦ x < m + 2/3 ⇒[x] = m…①
m+2/3 ≦ x+1/3 < m+1 ⇒[x+1/3] = m…②
m+1 ≦ x+2/3 < m+4/3 ⇒[x+2/3] = m+1…③
よって[x]+[x+1/3]+[x+2/3] = 3m+1となり、[x]+[x+1/3]+[x+2/3] = [3x]が成り立つ。
(ⅲ)整数mを用いて[3x] = 3m+2とあらわされる場合を考える。
この場合、下記①、②、③が成り立つ。
3x-1< 3m+2 ≦3x
m+2/3 ≦ x < m + 1 ⇒[x] = m…①
m+1 ≦ x+1/3 < m+4/3 ⇒[x+1/3] = m+1…②
m+4/3 ≦ x+2/3 < m+5/3 ⇒[x+2/3] = m+1…③
よって[x]+[x+1/3]+[x+2/3] = 3m+2となり、[x]+[x+1/3]+[x+2/3] = [3x]が成り立つ。
以上より、全ての実数xに対して[x]+[x+1/3]+[x+2/3] = [3x]が成り立つ。
(2) 整数m、hを用いて、[nx] = nm+hとあらわす。(0≦h<n)
このとき、ガウス記号の定義より①式であらわせる。
nx-1<nm+h≦ nx ⇔ m + h/n ≦ x < m + (h+1)/n…①
また整数t(0≦t<n)を用いて②式であらわす。
m + (t+h)/n≦ x+t/n < m + (t+h+1)/n…②
0≦t+h<2nであり、今、Σ(t=0→n-1)[x+t/n]を考える。
(ⅰ)0≦t+h<nのとき、(0≦t<n-hのとき)[x+t/n] = m…③
(ⅱ)n≦t+h<2nのとき、(n-h≦t≦n-1のとき)[x+t/n] = m+1…④
また、(ⅰ)を満たすtはn-h個あり、(ⅱ)を満たすtはh個ある。よって
Σ [x+t/n]=(n-h)*m + h*(m+1) = nm+hとなり、[nx] と一致する。
[16回]