日刊工業新聞掲載日 2013年10月21日
県立広島大学生命環境学部の三苫好治准教授らは、ナノスケールの金属カルシウムを活用し、土壌に吸着したポリ塩化ビフェニール(PCB)など残留性有機汚染物質(POPs)を常温常圧で分解する手法を開発した。数百ナノメートルサイズの金属カルシウムの凝集体が土壌中のPOPs微粒子に吸着し、99%以上を脱塩素化することで無害化できた。凝集力を利用することで鉛など重金属類の不溶化も可能となる。
研究グループでは市販の金属カルシウムを粉砕処理後に乾燥し、ナノ粒子化した金属カルシウムを作製。炭酸皮膜をはがして脱塩素活性を高めた。観察では粒子径は50ナノメートル程度で大半は約500ナノメートルの粒子の凝集体だった。PCBで汚染された土壌に金属ナノカルシウムを入れ、かき混ぜて放置したところ、脱塩素反応の連続発生を確認した。
市販の金属カルシウムを使うため、試算では1トンの土壌処理に必要な材料は2000円程度という。
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