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ある社会人の勉強記録

   

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熱力学の原則-熱力学第一法則等

A:熱とは何か
 熱とは一体何なのか。昔の人は、熱とは熱素(カロリック)という物質によって引き起こされるものであると考えていました。しかし、熱学の研究が進むにつれて熱の正体はカロリックではなく、物質を構成する分子(原子)の乱雑な運動そのものだと突き止めました。世の中の物質はすべて分子(原子)からできています。そしてその分子(原子)はすべて乱雑な運動をしています。この運動エネルギーの大きさが熱の大きさになっていたのです。

B:熱と仕事の等価性/熱の仕事等量
 1843年、ユリウス・ロベルト・フォン・マイヤーによって、下記のことが明らかになったのです。
①運動のエネルギーが熱になること⇒摩擦が発生すると、運動エネルギーが熱になることを想像してほしい。
②熱が運動のエネルギーに変わり得ること⇒内燃機関がまさにそれである。

この事実は面白いです。熱というのは分子の運動だからこそ、力学的な仕事に変換したり、仕事そのものを熱に変えられるのです。また、ジェームズ・プレスコット・ジュールは、マイヤーの実験を参考にして「仕事によって水に力学的な仕事W[J]を与えた時に発生する熱量Q「cal]」を算出したのです。この結果は下記の通りです。

W = 4.19Q

この4.19という比例定数こそが、仕事等量と呼ばれる値です。これは、熱と仕事は同一のものなのだということを支持する実験結果であり、熱と仕事の等価性はマイヤーやジュールによって確認されたのです。

C:熱力学第一法則
前述したように分子の熱運動が熱の正体です。そこで、熱のエネルギーを運動論に基づいて定義しましょう。分子には分子間力による位置エネルギーと、分子の熱運動による運動エネルギーが存在します。系における分子のこれらのエネルギーの総和を内部エネルギーといいます。内部エネルギーをU、系に加えた仕事をw、系に加えた熱をqとすると下記の式で表現できます。

ΔU = q + w …①

この式こそ熱力学の第一法則と呼ばれる熱学の大原則なのです。

余談:圧力Pの気体を圧縮し、体積をdVだけ減少させる仕事を考えると、下記のように書き換えられます。

dw = -PΔV  …②


E:準静的過程

熱的な平衡状態(熱平衡状態)を保ったままで、非常にゆっくりかつ静かに状態を変化させることを、準静的過程と言います。例えば、シリンダー内の気体をピストンで圧縮する過程を考えましょう。シリンダーを素早く動かした場合、気流が発生して気体の内部エネルギーに余計な仕事が加わっています。そうではなくて、シリンダーを無限にゆっくり動かし、余計な仕事を加えないような過程が準静的な過程です。なんでそんなわけのわからない動かし方を定義するのかというと、以後の議論のためです。実は以後の熱力学の議論では、準静的過程であるという前提でさまざまな現象を考察していきます。ですから、この説明がよくわからなくても、ものすごーくゆっくり動かしていて気流が発生していない状況だというイメージを持っていただければそれで十分です。準静的過程という言葉は、熱力学で躓くきっかけになる概念ですが、まずはそういったイメージを持っていただきたいですね。

F:可逆過程と不可逆過程
気体の仕事には、可逆過程と不可逆過程があります。例えば、シリンダー内のピストンを準静的に動かし、圧縮⇒膨張を繰り返すとします。このシリンダー内で摩擦が発生する場合、気体を圧縮した後再び膨張しても元通りの内部エネルギーを維持できません。このような変化は不可逆過程です。一方、摩擦が発生せずに準静的に仕事を繰り返し続けると、仕事の収支はw = - PΔVと考えればゼロになります。したがって、圧縮と膨張時で元の状態に戻すことができるでしょう。このような過程は可逆過程といえるのです。

皆さまに誤解しないでほしいのは、可逆過程は準静的だが準静的過程だからと言って可逆過程ではないのです。摩擦があると不可逆なんです。ここを誤解している人が沢山いますが、ここは誤解しないように。

G:可逆過程における仕事

圧力Pの気体を体積V1からV2に変化させる場合、wには次式が成り立ちます。

w =- ∫ (V1⇒V2)PdV …③

(追記⇒理想気体の場合、PV = nRTが成り立つので、下記のように変形できる。

w = - ∫ (V1⇒V2)nRTdV /V = -nRT*Ln(V2/V1) = nRTLn(V1/V2)  …④

この式ぐらいが化学でよく使う式だと思っていますね。

本日はここまで。次回はエンタルピーを解説します。

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