日刊工業新聞掲載日 2013年10月31日
関西大学化学生命工学部の工藤宏人准教授らは、セシウムなど金属イオンを吸着する「カップ型」構造を持つ新規高分子材料を1段階で合成する手法を開発した。通常は4、5段階の手順が必要。効率的に大量合成することが可能となり、製造コストも従来の10分1程度まで下がる。
研究グループが着目したのは「カリックスアレーン」と呼ばれる特殊な骨格構造。足元の水酸基同士が結合して分子内がカップのように空洞構造になっており、金属イオンなどを吸着する性質を持つ。
研究グループはイソシアナートと塩素酸の二つの官能基を持つ「2官能性化合物」を用い、カリックスアレーンの水酸基に重合させた。これによりカリックスアレーンを主鎖に持つ高分子材料を1段階の反応だけで70%以上の高効率で作製できた。
水溶液中に同じ物質量の高分子材料とセシウムを入れたところ、セシウムを43%まで吸着していた。濃度を上げれば100%の吸着が可能だという。
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