日刊工業新聞:掲載日 2013年10月16日
東京工業大学応用セラミックス研究所の笹川崇男准教授、英オックスフォード大学、米スタンフォード大学などの研究チームは、次世代電子材料として期待される「グラフェン」を超える性質をもつ新しい種類の素材を見つけた。同様の性質を持つ物質を電子デバイスなどに応用するには複雑な構造が必要だったが、今回の素材なら単純な構造でできる。
新たに発見したのは、内部が絶縁体で表面だけ電子が高速で動き回る「トポロジカル絶縁体」と呼ばれる物質。ビスマス、テルル、塩素が交互に積層した結晶構造をとる。結晶の上面と下面の物質が異なるため表と裏が存在し、そのため層の上面と下面の両端に電荷の偏りができ、磁石のNS極のような極性を持つ。極性を持つトポロジカル絶縁体を見つけたのは今回が初めて。
従来のトポロジカル絶縁体は極性がないため、スピンの流れや磁場が上下の面で打ち消し合ってしまい、磁場をかけるための余分な装置が必要だった。
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