日刊工業新聞掲載日 2013年10月28日
京都大学物質―細胞統合システム拠点(iCeMS)の北川進教授、古川修平准教授、ステファン・ディーリング助教、亀井謙一郎助教らは、光を使って一酸化窒素(NO)を自在に取り出せる多孔性構造体を開発した。そのうえで、材料を細胞培養基板に埋め込み、細胞の狙った場所をNOで刺激することに成功した。
研究グループは、ニトロイミダゾールと亜鉛イオンで構成される多孔性金属錯体(PCP)の「NOF―1」というナノ細孔の結晶性材料を開発。NOをニトロ基として有機物に固定し、高密度で閉じ込めた。紫外光が当たるとニトロ基が分解されてNOを放出する仕組み。波長370ナノメートルのレーザー光を細胞培養基板上のNOF―1結晶に照射すると、NOが放出されて細胞は緑色に光ったという。
ナノ細孔から出る分子は圧力や温度制御が必要だが、光は自在に制御できるため細胞への影響が少なく、必要な時に取り出せることで利点は大きいとみられる。
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