日刊工業新聞掲載日 2013年12月03日
東京大学物性研究所の大串研也特任准教授ら研究チームは、アンチポストペロブスカイトという結晶構造を持つバナジウム(V)・リン(P)・窒素(N)の化合物「V3PN)」が、4・2K(マイナス268・9度C)で電気抵抗がゼロとなる超電導状態になることを発見した。今後、超電導を発現するメカニズムを解明することで、超電導になる転移温度を高くできるとしている。
V3PNは、地球のマントルの最深部に実存するとされる結晶構造のアンチ構造。研究では、その窒素が欠損したり、リンがヒ素に置き換わることで、転移温度が大きく変化することを見つけた。具体的には転移温度が化合物の組成によって変化するメカニズムには結晶構造の2次元性がカギを握っていることが判明。組成を最適化することで、転移温度をさらに高めることができるという。
今後、新たな高温超電導体の設計指針を確立できる可能性が期待される。
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