■相対揮発度とは何か?
前回の検討でベンゼンとトルエンの混合溶液における蒸気圧は、下記のようにあらわせることを学んだ。
P = P1 + P2 = p1x1+ p2x2 …①
詳細は、
二成分系状態図‐ベンゼンとトルエンを参考にしていただきたい。
この式はさらに変形可能である。具体的には、下記②式である。
P = p1x1 + p2(1-x1) = p2 + (p1 - p2)*x1 = p2{1+(p1/p2 - 1)*x1 }…②
ここで、p1/p2 =αとすると、下記のとおりである。
P = p2{1+(α-1)}x1 …③
このαのことを化学工学では相対揮発度と呼び、揮発の尺度の指標になる。
相対揮発度αをを用いてy1,y2を求めると下記のようになる。
y1 = P1/P = p1*x1/[p2{1+(α-1)x1}] = αx1/{1+(α-1)x1} …④
y2 = P2/P = p2*x2/[p2{1+(α-1)x1}]= x2/[{1+(α-1)(1-x2)]
y2 = x2/{α+(1-α)x2} …⑤
ここで、④、⑤より
(y1/x1) = α/{1+(α-1)x1}
(y2/x2) = 1/{α+(1-α)x2} = 1/{1+(α-1)x1}
(y1/x1)/(y2/x2) = α …⑥
数学的に、x1,y1,x2,y2,αについても美しい式で整理できますね。
■非理想混合溶液における分圧の取り扱いと相対揮発度
非理想溶液では、活量係数の影響を考慮する必要がある。具体的には、①式が下記のようになる。
P = γ1p1x1 + γ2p2x2 …①’
このような系では、同様に変形していくと、
(y1/x1)/(y2/x2) = (γ1/γ2)α …⑦
のようになるのです。この式の導出は演習で残しておきます。
その他:http://chemeng.in.coocan.jp/bce/bce_bun9.html
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